ロボット製作を通じて科学を学ぶ教室-クレファスひたちなか校

2023年10月14日

最新の教育コラム

C-Wave : 高学歴親という病    成田 奈緒子  

C-wave                                       2023/10/9

高学歴親という病                           成田 奈緒子  講談社

かなりショッキングなタイトルだなと思われる方もいるかと思われます。ただ、この本の内容に冷や汗が出る私がいました。決して私自身が高学歴というわけではないのですが、似たようなことをして子供を追い詰めてたんではと感じたことは否めないです。何か刺さる点があれば是非、お手に取って読んでいただけたらと思います。

 

第1章:「高学歴親」の子育てリスク

※三大リスクは「干渉・矛盾・溺愛」

干渉=口出ししすぎる・世話を焼きすぎる

矛盾=親の言動が子供から見て矛盾していると感じてしまうこと

溺愛=過度に甘やかす

      正しい知識を持って関わればいつからでも子育てはやり直すことができる

 

第2章:心配しすぎの高学歴親

 1998年から子供を対象とした精神心理疾患の外来診療を始める。キーワードは「不安」

子育ては「心配」を「信頼」に変える旅。親の力で子供の失敗リスクを回避させることに一生懸命になるの

ではなく、子供を信頼することで子供は失敗しながら自分で考え行動する力をつけていく。 

3歳で心配85%、信頼15%

10歳で心配50%、信頼50%、

12歳で信頼65%、18歳で信頼95%に!

 

小学6年生=前思春期:自我が芽生える「自分はどんな人間なのか」→親に反抗・口答えが増える

  ⇒性ホルモンの分泌により偏桃体や海馬など脳の様々な部位に影響を与える。それにより感情の爆発

   が起こるが、子供自身もよくわからない感情の起伏に襲われコントロールできなくなっていることが

   とても後ろめたく苦しい思いをしている。

   この反抗期はあった方が良く、なかった子供は大人になってから爆発するケースが少なくない

子供を信頼できない3つの理由

<完璧主義・虚栄心・孤独>

・親が子供に対するネガティブな要素を一生懸命に回避しようとする

⇒子供からみれば、心配ばかりして自分を信頼してくれないというメッセージにとられる

・親の干渉が強く「あなたのためにママは頑張っているのだからあなたも頑張って」

⇒子供から見れば「ファイトの押し付け」「善意の押し付け」にとられる

 

第3章:傷つきやすい高学歴親子

  ◎レジリエンス=「ピンチを乗り越える力」は次の3つの要素からなっている。これが低い子供が多い

   ①自己肯定感=自分は何があっても大丈夫と思える力

   ②社会性=周囲の人と協力しながらいろいろな問題を解決する力

   ③ソーシャルサポート=周りの人に助けられていることを実感する力

 

第4章:高学歴親は「間違った早期教育」に走る

  子育て=脳育て

   0~5歳:「からだの脳」を育てる

        寝る、起きる、食べる、体鵜を動かすをつかさどる視床下部などの間脳や脳幹部を含む

   1~18歳:「おりこうさんの脳」を育てる

        言語機能や思考、スポーツの技術的なものを担う大脳新皮質

   10~18歳:「こころの脳」を育てる

        前頭葉を用いて人間的な論理的思考を行う問題解決能力

   脳育ての順番を軽視し、「からだの脳」が育つより先に「おりこうさんの脳」を育ててしまうと

   小学校高学年以降に心の問題を引き起こすリスクが高まる

   ◎「からだの脳」=原始人のような子そだて:自分が生き延びるために環境に適応する力を身に付ける

    周りの環境に耳をすまし安全を確認してリラックスする・一日3回空腹を感じて食事を自発的

    にとる・自律神経を働かせて体内環境を維持できる・敵が現れれば起こり、恐怖し、逃げる、戦う

    5歳児の睡眠時間は10~11時間:PM7~8時就寝、AM6時起床

    小学生の睡眠時間は9~10時間:PM8~9時就寝、AM6時起床  が理想

   ◎「おりこうさんの脳」=「学校の勉強以外の知識欲がある子に育てる」:睡眠が非常に大事=成長ホル

    モンの分泌に重要。不足は肥満やうつ病早発月経のリスクが高まる&日々の情報を整理整頓し固着

    させる学習機能に悪影響。この時期、しっかりと睡眠と食事をとり自律神経が良く働いていつも体

    調がいい子供の脳には新しい知識や情報が刺激として無限に取り入れられる。学校以外の知識や情

    報を刺激として惜しみなく投入することが大事。「好き」を極める。

 

「子供が一番してほしいことは、信じてもらうことです。子育てとは心配を信頼に変える旅。」という言葉がささりました。著者も、自分も親に信頼されない子供だったと言います。転校した小学校からバスで帰宅する際、その回数券をなくしたことに気付き、近くの駄菓子屋に飛び込みました。はきはきしていない自分が他人に状況を伝えピンチを回避することができたことに興奮し、帰宅後笑顔で母に話すと、予想外の怒鳴り声が。本当に行ってほしかった言葉は「えらかったね。ゆうきをだしてよかったね。明日一緒にお礼を言いに行こうね」だったと著者は言います。言葉が出ません。

日本中の子供たちが「安心・安全」な環境であることの前提に、大人の幸福感が満たされてほしいと思いました。まずは自分が整っていることを心がけたいと思います。

この本についてこちらからどうぞ

 

 

 

 

                                          ASAHI

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